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代理人弁護士による遺産分割協議書と印鑑証明書
被相続人の遺産を誰がどれだけ相続するのか相続人全員で話し合うことを遺産分割協議といいます。協議が成立すればその内容をまとめた遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名および実印で捺印した上、各相続人の印鑑証明書を添付します。
そして、作成した遺産分割協議書を預貯金の相続手続きでは金融機関へ提出し、不動産の相続登記では法務局へ提出することになります。
このように遺産分割協議は相続人全員で話し合いを行い、その後、各相続人が遺産分割協議書に署名および実印で捺印を行うのが原則ですが、相続人から委任を受けた代理人が相続人に代わって遺産分割協議を行うことも認められています。
相続人の代理人が遺産分割協議に参加できることを認めた先例に次のようなものがあります。
遺産分割協議は、相続人からの委任による代理人によって行わせることができる。この場合は、遺産分割協議書に記名押印した代理人の印鑑証明書と、代理人の権限を証する書面には委任者の実印を押して印鑑証明書を添付する。(昭和33年7月9日民甲第1379号、登記研究480号、133号)
先例によると次のような事例が考えられます。
相続人Aの代理人として弁護士aが、相続人Bの代理人として弁護士bが、それぞれの相続人から委任を受けているとします。この場合、弁護士aと弁護士bとで遺産分割協議を行い、遺産分割協議書には相続人ではなく代理人が署名および実印で捺印を行います。遺産分割協議書には各代理人の印鑑証明書を添付します。
そして、代理人の権限を証する書面として相続人から代理人弁護士への委任状も必要で、その委任状には相続人が実印で押印し印鑑証明書を添付します。
不動産の相続登記には、「代理人の印鑑証明書付きの遺産分割協議書」と「相続人の印鑑証明書付きの相続人から代理人への委任状」を戸籍などの必要書類とともに法務局へ提出します。
この場合の印鑑証明書についてポイントが2つあります。
印鑑証明書のポイント
1、代理人および相続人の印鑑証明書には有効期限はない。
2、代理人は個人の実印で捺印を行う必要がある。
注意が必要なのが2つめのポイントです。
代理人が弁護士の場合であっても、弁護士会発行の職印証明書は認められていませんので(先例や通達は現段階でないようです)弁護士会に登録している職印で捺印することはできません。あくまでも個人の実印で押印する必要があります。そうすると、遺産分割協議書に記載する代理人の住所も弁護士事務所住所ではなく、印鑑証明書に記載されている個人の住所を記載することになります。
実際の解決事例をご紹介しています
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