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遺言書は書かない、家が朽ち果ててもいいさ
梅雨の季節。
雨が降って鬱陶しいな〜と思うけど、
水色と薄紫のアジサイの花を見ると、梅雨もいいもんだなと思う。
とある一日。
ある男性が事務所に相続の相談に来られた。
聞くと、
ご結婚されておらずお子さんもいらっしゃらない。
兄弟姉妹もおらず、ご両親も既に他界されている。
つまり、この方には法的な相続人がいない。
そこで
「私が亡くなれば、自宅はどうなるのだろう??」そんなご相談。
色々とお話をお聞きして、
「もし自宅を引き継いでもらいたいと思う方がいらっしゃれば
遺言書を書かれたらどうでしょうか」と私はお伝えさせて頂いたのだ。
すると男性は
「遺言書?う〜ん、ちょっと違うな〜」
「まあ、何もしなくても私が亡くなれば、ゆくゆくは国がどうにかしてくれるかな」
「自宅が朽ち果ててしまっても仕方ないかな」
えっ、えっ、え〜。。。
私にはかなり衝撃的な発言!!
遺言書を書きたい、と私の事務所に来られる方は
自宅や遺産で残された家族や大切な人が争わないようにしておきたい、とか
残された妻や家族が困らないようにしておきたい、
といった理由で遺言書を書かれることが多い。
まあ、たまに「あの相続人には絶対に遺産を渡したくないから」
といった場合もありますけどもね。。。。
そして、遺言書を書く原動力がもう一つあるように思う。
それは「自分が築いた財産は、責任を持って自分で行き先や処分方法を決めたい。」
という想い。
遺言書を書かれる方は書かれない方に比べて、
この想いがとっても強いのではないかと私は思う。
いつもこの想いが心の根底に深くあって、
ある程度の年齢になりふっと自分の死を意識した時
元気なうちに財産の処分方法を自分で、自分の手で決めておきたい、
とフツフツと湧いて出てくる・・・・という感じかな。
だから、自宅が朽ち果ててもいいさ、
という言葉は私にはかなり衝撃的で、ある意味斬新なご意見だった。
というか、少しショックだったかも。。。。
もちろん、色々な意見や考えがあるので遺言書は必ず必要、とは思わない。
預貯金は10年以上放置していれば、
休眠預金として民間公益活動してに活用するされることになるだろうし、
自宅は全国的に空き家が問題になっているので、
最終的には行政が対応して解体される可能性もある。
そう考えると、相談者のおっしゃる通り最終的には国がなんとかしてくれるかも。。。
でも、私はやっぱり哀しい。
家が朽ち果てていくのか、と考えると、
私の家でもないが、なんだか哀しくなってしまう。
なんでだろう。。。。
「家はその人を表す」私が好きな言葉。
家を作り修繕するのは所有者である住人(すみびと)。
そして住人はその家で人生の楽しさや辛さ悲しさを経験していく。
いや、経験するだけでなく、
楽しさや辛さを家が包み込んでくれるからこそ、
「さあ、早く寝て明日も頑張ろう」と人は新しい日を迎えることが出来るんじゃないだろうか。
家は住んでいくうちに住人の体の、心というか、
ん〜、そう魂の一部になっていくものだと私は思う。
だから、「家が朽ち果ててもいいさ」という言葉を聞くと、
朽ちることをよし、とするのは、
家だけでなく所有者であるその人自身も朽ちてしまうこともよし、
とすることも意味するような気がするのだ。
自分を大切にするように、家や残される遺産を大切にしてもらいたい。
ご相談者の方が、遺言書を書いてくださればいいのだが。。。。
そんなことを考えた一日でした。
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