解決事例

家族信託・お客様インタビュー HM様

ご相談者
(お母様)神戸市東灘区 H様 (二女様)神戸市東灘区 HM様 
ご相談内容
80代後半の母が、将来、施設に入居すると預貯金や年金だけでは施設費などが不足するかもしれない、と心配しています。その場合に備えて、母名義の自宅をスムーズに売却できるよう家族信託を検討したいと考えています。
解決内容
数年前にも一度、お母様と二女HM様に家族信託についてご説明をさせて頂いたことがあります。
今回、改めてお母様と二女HM様にお越しいただき家族信託の仕組みなどをご説明いたしました。
お母様名義の自宅の土地と建物、そして預貯金の一部を信託財産とし、二女HM様が受託者として管理できるよう次のような信託を設定することをお勧めしました。

(信託の内容)
 委託者兼受益者  お母様(H様)
 受託者      二女様(HM様)
 受益者代理人   長男様
 信託する財産   お母様名義の不動産と預金から出金した金銭●●円

お客様インタビュー

数年前、家族信託のご相談にお母様とお越しになられました。家族信託を知ったきっかけを教えて下さい。
母がNHKで放送された家族信託の特集番組を見たことがきっかけでした。
番組では、親が認知症になったため自宅の売却が難しくなったケースが取り上げられており、その対策として家族信託が紹介されていました。
番組を見た母が「将来、自分が認知症になったときのことが心配だ、家族信託についてもっと知っておきたい」と申しましたので、以前、遺言作成でお世話になった国本司法書士事務所に母と共に相談に伺いました。
以前ご相談に来られた際は家族信託を行いませんでしたが、今回改めて家族信託を検討されたのはなぜでしょうか。
元気だった母も最近では、一人で財産の管理をする自信がない、とよく口にするようになりました。
体調は良いのですが、一人で出歩くことに不安を感じることがあるようです。近い将来、施設に入居することも選択肢の一つとして検討し始めるべき時期が来たのだと、母だけでなく私も思い始めるようになりました。
そこで、改めて家族信託を検討してみようと思い、再度、国本司法書士事務所に相談に伺いました。
「家族信託をやろう!」と思われたのはどうしてですか。お母様とHM様にとって家族信託を行うことになった決め手は何でしたか。
母と私の一番の心配事は、これからかかるであろう母の生活費や施設費のことでした。
母が施設に入所した場合、施設費を預貯金等の蓄えや年金だけで賄うことができなければ、母名義の自宅を売却し現金化する必要があります。
後見制度を利用するのも一つですが、私たち家族にとって、必要となれば自宅をスムーズに売却できる家族信託を利用することが一番の解決方法だと思い、母と私との間で家族信託の契約をすることにしました。
HM様は四人兄弟姉妹でいらっしゃいます。今回の家族信託について、お姉様、お兄様、弟様はどのようなご意見でしたか。
姉や兄、弟たちは遠方に住んでおり、コロナ禍のため家族全員で集まることが難しかったため、母の今後の生活のことを考えて家族信託を利用しようと思っている、と私から姉、兄、弟に電話で相談しました。
母と私との間で家族信託の契約を締結し、母の近くに住んでいる私が受託者となって財産を管理する、必要に応じて受託者が自宅を売却する、といった信託の内容を説明すると、姉、兄、弟は「母のこと、自宅のことを任せるからね」と言って家族信託を利用することについて了解してくれました。
お兄様には受益者代理人、お姉様には第二受益者代理人、弟様には第二受託者になって頂いています。家族信託のことはわからないから困る、といったお話にはなりませんでしたか。
それぞれ家族信託についてネットなどで調べてくれたようで、家族信託について心配する者はいませんでした。私たち兄弟姉妹はそれぞれ持ち家があり、母が施設に入居したあと空き家になる実家に戻る予定はありません。兄、姉、弟たちは、母のために必要なのであれば実家を売却してもいいよ、と言ってくれました。
三人とも売却手続きをスムーズに行うためにも家族信託が有効であると理解してくれています。
家族信託の打合せが始まりしばらくして、お母様が施設に入居されることになりました。
母はまだまだ元気なのですが、私に負担をかけないようにと、家族信託の打合せを開始した頃から自ら色々な施設を探し始め、信託契約の締結前に施設に入居することになりました。信託を設定することで不動産の名義は受託者である私に変更されますが、受益者は母ですので「施設での生活が合わなければ、受益者はお母さんだからいつでも自宅に戻ってきていいからね。」と母には伝えています。
無事に信託契約の締結が終わりましたが、HM様と同じような悩みで家族信託を行うかどうか悩まれていらっしゃる方に、ひと言メッセージをお願いします。
親が元気なうちに、親のこれからの生活を想定してみることが大切だと思います。
今まで通り自宅で住み続けるのであれば自宅を売却することはないでしょう。
一方、施設に入居すると毎月の費用がかかります。場合によっては自宅を売却する必要も出てきます。
自宅で過ごす、施設に入居する、どちらになるのか分からないのであれば、選択肢を広げるためにも親が元気なうちに家族信託を利用しておいた方がいいと思います。
必要なときにスムーズに自宅を売却できれば、金銭的余裕が生まれ親のためにできることが増えるはずです。
受託者として今後の管理に不安はないですか?
私が受託者として母の財産を管理することについて、姉や兄、弟たちは私が無茶なことをするとは思っておらず、母のためにしっかりと財産を管理するはずだ、と信じてくれています。
母のためにも、姉、兄、弟のためにも受託者の任務を果たしていこうと思います。
■国本からひと言
信託契約を締結する前、私から長女様、長男様、二男様の皆様に信託契約書案をお送りしました。長女様には第二受益者代理人、長男様には受益者代理人、二男様には第二受託者になって頂いていますので、それぞれの方と約2時間ほどお電話でお送りした信託契約書案を読み合わせながら、皆様の信託における役割や信託の内容についてご説明させて頂きました。

お電話でお話をする中で印象に残った言葉がありました。
それは、「母の近くに住んでいる二女には母の世話を任せきりだ。二女が受託者になることで、いざという時に実家を売却できるのであれば母の今後の生活も安心だ。だが、更に二女の負担が増えることが一番の気がかりだ」という言葉でした。

親の近くにいる子供に負担がかかるのは仕方がないことかもしれません。受託者になったHM様には、今以上に負担がかかることもあるかもしれません。ですが、それを理解しサポートしてくれる兄弟姉妹がいれば、きっと信託の運営はうまくいくはずです。

お母様、HM様と、国本司法書士事務所とは遺言作成のときからのお付き合いですが、これからは家族信託を通じて新しいお付き合いが始まります。
これからもしっかりとサポートさせて頂きますので、よろしくお願い致します。

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