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家族信託 不動産を信託した場合〜登記簿謄本の記載例その3(信託目録の信託条項)
不動産を信託財産とした場合、所有権移転および信託登記を行います。所有者の欄の記載が委託者から受託者の名前に名義書換がされます。
信託目録には信託の登場人物の記載以外にも、信託契約の概要を「信託条項」として登記していきます。
信託目録に「4 信託条項」として信託の目的、信託財産の管理方法、信託の終了事由、その他の信託の条項を登記していきます。
信託の目的
どんな目的で不動産を信託したのかを登記します。信託の目的は家族によってそれぞれ違いますから、当然この文言は同じものはありません。どんな文言にするのか、ご家族と一緒に考えながら信託契約書を作成していきます。これから不動産を管理処分していく受託者としては、この信託の目的を信託事務の指針として信託業務を行なっていくことになります。信託の目的は「信託契約書の要」ですから、しっかりと考えていきましょう。
信託財産の管理方法
委託者が受託者に不動産に関してどの様な権限を与えるのかをここで記載していきます。
例えば、信託した不動産を売却する予定であれば、「売却できる」あるいは「換価処分できる」と規定しておきます。信託目録に記載がなければ、受託者が不動産を売却する権限がないとして法務局での売却手続きが進まないことになってしまいます。
逆に、「委託者が自分が認知症になったとき、賃貸に出すのはいいが不動産の売却は望んでいない」と考えるのであれば、信託契約書に売却権限を与えず、管理権限だけを認め、管理権限だけを登記をしておけば安心です。
この様に、委託者が受託者にどんな権限をどこまで与えるのかは、委託者と受託者で話をして決めていきましょう。
信託の終了事由
いつ信託が終了するのか信託契約書で定めた事項を登記していきます。
「委託者及び受益者である◯が死亡したときに信託が終了する」
「受益者と受託者が合意したときに信託が終了する」
という様な内容を書いていくことになります。
その他の信託の条項
信託契約書の中から、不動産に関することを選択し上記以外の事項をここに記載していくことになります。
例えば、信託の終了事由が生じた時に残った信託財産(残余の信託財産)を引き継ぐ人(帰属権利者と言います)を定めておきます。
こうしておけば、委託者兼受益者が死亡したときの財産の承継先を定めておくことになりますが、それは遺言書と同じ機能を持つことから、信託財産については別途遺言書を書く必要が無くなります。
これ以外にも、第二受益者、第二受託者を定めている場合はここに記載していくことになります。
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