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家族信託 不動産を信託した場合〜登記簿謄本の記載例その2(信託目録と贈与税、不動産取得税)
信託契約時に不動産を信託財産に組み入れた場合、所有者の名義を形式的に委託者から受託者へ変更する名義書換を行います。具体的には管轄不動産に「所有権移転登記及び信託登記」の申請を行うことになります。
所有者の記載方法はこちらの家族信託 不動産を信託した場合〜登記簿謄本の記載例その1(所有権に関する事項)のブログに記載しています。
今日はその際に登記される信託目録についてお話しいたします。
委託者及び受益者を山田父郎、受託者を山田子太郎とする信託契約を締結したとします。所有者の名義書換とともに「信託目録」が登記されることになります。
信託目録に記載すべき事項は法律で規定されていますが、まずは信託の登場人物を記載します。
「1、委託者に関する事項」には、今回の信託契約での「委託者の氏名住所」を記載します。
「2、受託者に関する事項」には、財産を託された「受託者の氏名住所」を記載します。
「3、受益者に関する事項等」には、信託契約書で定めた「受益者の氏名住所」を記載します。
信託期間中、上記の内容に変更が生じた場合はその都合、変更登記の申請を行います。例えば、委託者の氏名住所が変更になった場合、受益者が死亡し第二受益者に変更になった場合、などが考えられます。
●贈与税と不動産取得税はどうなるのか
上記の信託目録の記載例を見ている皆さんの中には、「おや?変だな〜登場人物は3人でも同一人物だな」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
「委託者」「受託者」「受益者」といった登場人物の3人のうち「委託者と受益者」が同じ人物です。ということは、不動産の管理処分権が委託者から受託者に移ったとしても、不動産の実質的価値は受益者である委託者が持ち続けています。つまり、信託契約を設定したこの時点では「不動産の実質的価値の移転は起こっていない」ことになります。
実質的価値の移転が起こっていないのですから、不動産の名義書換で所有者が委託者から受託者に移っても、この時点では受託者には「贈与税」「不動産取得税」が課税されないことになります。
通常、不動産の名義を変更すると高い贈与税や不動産取得税がかかりますよね。ですが上記のような内容の信託では課税がされないのです。すごくないですか!?
ただし、信託登記を行う場合の登録免許税や司法書士への報酬はかかりますのでご注意くださいね。
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