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土地の放棄を希望する人と土地を活用したい人を仲介する新制度〜日経新聞から
今日2018年10月2日の日本経済新聞の朝刊に「放棄希望の土地仲介」という見出しが出ていました。
記事の内容を簡単にまとめると次のようなものです。
所有者不明の土地が国内で増加している問題を受けて、国がいよいよ土地の放棄を希望する人と土地を活用したい人を仲介する仕組み作りをスタート。官民で土地の有効活用に向けた対策を急ぐ。
民間の有識者でつくる研究会では10月1日、制度設計の中間とりまとめ案として、土地の放棄希望地の活用を促す仲介組織について論点が示され、研究会では受け皿となる仲介組織が担う役割として3つの例が示された。
第1は、土地の所有者と活用を望む事業者などを引き合わせ、専門家の助言のもとで土地を整備し直し新しい土地の活用方法を探る。
第2は、将来的な活用を見据えた所有権の引受け。事業者とのマッチングに時間がかかる場合には土地の管理を引き受ける。
第3は、土地を活用できず売却も見込めないような場合、仲介組織が所有者から費用を受け取って管理する。
この記事を読んで私が驚いたのは、第3の「所有者は売却が出来そうにない土地であれば、費用を支払うことで管理を任せることができる」という点でした。管理を任せる、のであって正式な「所有権の放棄」ではなさそうですが、管理権限が所有者から他の組織に移るのであれば、実質的には放棄と同じ効果と言えるかもしれません。管理を仲介組織に委ねることで土地の有効活用が進むことが期待できそうです。
土地については、さらに問題なのは「所有者不明の土地」の問題です。法務省でもの対策を検討しており、所有権の放棄をどのような要件で認めるのか制度のあり方が議論されています。ただし、どのような土地でも放棄できるわけではなく、「災害や事故などで危険な状態となり所有者による管理が難しいケース」が想定されるようです。
今まで民法では「土地の所有権を放棄する」という概念はありませんでした。「所有者不明の土地対策」や、今回記事にあった「放棄希望の土地仲介」という制度は長年の民法の概念を大きく変える新制度になるかもしれません。研究会での議論に注目したいと思います。
■法改正に関連する記事はこちら
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