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令和4年9月1日商業登記規則等が改正 上場会社は「電子提供措置をとる旨の定款の定めの設定」による変更の登記が必要です。
令和4年9月1日から商業登記規則等の一部を改正する省令(令和4年法務省令第34号)等が施行されます。
これによって、同日から、電子提供措置をとる旨の定款の定めがあるときは、その定めが登記事項となります。
本日、法務局に「電子提供措置をとる旨の定款の定めの設定」の登記を申請しました。
電子提供制度について簡単に解説いたします。
電子提供制度とは、
電子提供制度とは、会社が株主総会資料を自社のホームページ等のウェブサイトに掲載し、株主に対し、そのウェブサイトのアドレス(URL)等を書面で通知することによって、株主がウェブサイトで株主総会資料の内容を閲覧することができる制度です。
この制度により、会社は、株主総会資料の印刷や郵送のために要する時間や費用を大幅に削減することができ、株主も、従来よりも早期に株主総会資料をウェブサイトで確認することができます。
ただし、インターネットを利用することが困難な株主や今までどおり株主総会資料の郵送を希望する株主は、会社に対して株主総会資料等に記載すべき事項を記載した書面の交付を請求することができます。この制度を「書面交付請求」といいます。
上場会社の電子提供制度の利用義務
上場会社等の振替株式を発行する会社(以下「上場会社」といいます。)においては、電子提供制度を利用しなければならないとされています(社債、株式等の振替に関する法律第159条の2)。
つまり、施行日の令和4年9月1日以降、上場会社にとって、電子提供制度の利用は義務となります。
電子提供制度を利用するためには、定款に電子提供措置をとる旨を定める必要があります(会社法第325条の2)。
そのため、電子提供制度を利用するには、株主総会において電子提供措置をとる旨の定款変更決議を行う必要がありますが、電子提供制度の施行日である令和4年9月1日において上場会社である場合は、施行日を定款の変更が効力を生ずる日とする電子提供措置をとる旨の定款の定めを設ける定款の変更の決議をしたものとみなされることとされています(会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等の関する法律(以下「整備法」といいます。)第10条第2項)。
つまり、上場会社の場合、株主総会で定款変更決議を行わなくても、令和4年9月1日をもって電子提供措置をとる旨の定款変更がなされたとみなされ、電子提供制度の利用が強制適用されることになります。
なお、電子提供制度を利用することができる会社は上場会社だけに限定されていませんので、非上場会社等の振替株式を発行していない会社や取締役非設置会社も、電子提供制度を利用することができます。
施行日前に行う定款変更決議
上場会社の場合、上記のようなみなし規定があるのであれば、たとえば、毎年6月に定時株主総会を開催する会社の場合、令和4年6月に開催した定時株主総会で電子提供措置をとる旨の定款変更決議を行う必要はない、ということができます。
ですが、私が登記申請を担当した会社は、令和4年6月の定時株主総会で電子提供措置をとる旨の定款変更の決議を行いました。
上場会社の多くが、施行日前の定時株主総会で同じような決議を行っているかと思います。
整備法によるみなし規定があるにも関わらず株主総会で定款変更決議を行っているのには、理由があります。
電子提供制度を導入した会社の株主は会社に対して書面交付請求を行うことができますが、会社は、株主から書面交付請求がなされた場合に、当該株主に交付する書面に記載する電子提供措置事項の一部について不記載とする措置をとる旨を定款に定めることが可能とされています(会社法第325条の5第3項)。
しかし、この不記載の旨の定款の定めは、整備法に電子提供制度のようなみなし規定がないため、施行日において定款変更の決議がされたものとみなされることはありません。
そのため、不記載の旨を定款に定めるためには、株主総会における定款変更決議が必要となります(会社法第325条の5第3項)。
また、後述のとおり、電子提供制度の利用が可能となる時期は令和5年3月1日以降ですが、書面交付請求は令和4年9月1日の施行日から利用を開始することができます。
そのため、不記載の旨を定款に定めておくには、施行日の令和4年9月1日の前に株主総会を開催し定款変更決議を行っておく必要があります。
そこで、上場会社の多くは、施行日前に開催される株主総会(多くの場合、令和4年6月頃の定時株主総会)で、書面交付請求をした株主に交付する電子提供措置事項を記載した書面の記載事項を一部不記載とすることについての定款変更の決議と併せて、法律改正の施行を条件として電子提供措置をとる旨の定めを設ける定款変更の決議を同時に行うという対応をとっているようです。
電子提供制度の利用時期
令和4年9月1日から電子提供制度が開始されましたが、上場会社が実際に電子提供制度を利用できるのはいつからになるでしょうか。
整備法第10条第3項では次のように規定されています。
整備法第10条第3項
前項の規定により定款の変更の決議をしたものとみなされた会社の取締役が株主総会(種類株主総会を含む。以下この甲において同じ。)の招集の手続を行う場合(当該株主総会の日が第3号施行日から6箇月以内の日である場合に限る。)における当該株主総会の招集手続については、新会社法第325条の3から第325条の7まで(第325条の5第1項を除く。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。
上場会社の場合、施行日の令和4年9月1日に電子提供制度の利用が義務化されましたが、株主総会の日が施行日から6箇月以内の日である場合は従前の例による、とされています。
つまり、6箇月後の令和5年3月1日以降に開催される株主総会から、株主総会資料の電子提供制度を利用できることになります。
他方で、振替株式を発行していない非上場会社の場合は、整備法が適用されないため、令和5年3月1日を待つことなく施行日の令和4年9月1日以降であれば、定款変更により電子提供制度を利用することが可能となります。
また、先程も記載したとおり、書面交付制度(会社法第325条の5第1項)については、整備法第10条第3項の2つめのカギ括弧に(第325条の5第1項を除く)と書かれていますから、利用時期については6箇月待つことなく、施行日の令和4年9月1日時点で電子提供制度を導入している会社の株主であれば、同日以降に利用することが可能です。
次回は、登記手続について解説していきます。
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