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日本経済新聞「認知症 自宅の処分難題」と家族信託
令和3年8月12日の日本経済新聞の夕刊に「認知症 自宅の処分難題」という見出しで、家族信託のことが取り上げられていました。
記事には次のようなことが書かれていました。
民間の研究所の調査によると、認知症を患う人が所有する住宅は、2040年に現状の221万戸から約27%増の280万戸に増えると予測されています。
認知症を患い判断能力を失うと自宅の売却は基本的にできなくなり、成年後見制度を使う必要があります。しかし、最高裁判所によると、2020年末時点の成年後見制度の利用者は23.2万人のみで、制度の認知度の低さや手続きの複雑さのため成年後見制度の利用が敬遠されている、と述べられています。
親が認知症になり介護施設への入居などが必要になった場合に問題となるのが、経済的負担です。親名義の自宅の売却が滞ることで、介護費用の捻出に問題が生じる場合があります。自宅を売却せず施設入居費を賄うことができたとしても、自宅が空き家になった場合、子にとって自宅の管理費などが介護費用とともに二重の負担になる恐れがあります。
そこで認知症になる前に取っておきたい対策の一つとして家族信託が紹介されていました。
家族信託の典型例は、親が認知症になる前に自宅などの不動産を含む親の資産の管理を子に任せるという形です。この場合、親と子の間で信託契約を締結しますが、契約の内容として「介護施設に入るときに子の判断で親の自宅を売ることができる」と定めておくことができます。
記事では、個人で情報収集をして対策を講じることには限界があることから、認知症になったときの問題点や家族信託などの対策の周知徹底は国が推進すべき課題である、との意見も書かれていました。
最近でこそ、この記事のように新聞や雑誌などで家族信託という言葉をよく目にするようになりましたが、家族信託の本格的な普及はまだこれからです。家族信託を数多く担当してきた私としては、多くの方に家族信託を知ってもらいたい、という想いもありますが、もっと大切な事があるのではないかとも思っています。
それは、親はこれからの人生をどのように生きていきたいのか、子はどのように親と関わっていきたいのか、関わっていくことができるのかしっかりと考えておく、ということです。
特に親世代の方には、自分も認知症になる可能性があるということを意識しながら、これからどう暮らしていきたいのか、その暮らし方にどんな法的問題があるのか、一度じっくりと考えてみる時間を取ってみて欲しいと思うのです。
たとえば、親自身が元気なうちに有料老人ホームに入居することを決めたとします。その場合、皆さんなら空き家になる自宅はどうしますか。自分が働いて築いた自宅を元気なうちに自分自身で売却するのも一つの選択肢です。家族信託の制度を利用して将来自分が認知症になった際に子の判断で売却してほしい、という選択肢もあるでしょう。
一方、居宅介護のサービスを受けながら可能な限り長年住み慣れた我が家で余生を過ごしたい、と願っている方もいます。しかし、認知症になって介護施設へ入居した場合、施設入居費や介護費用の負担を子にかけたくない、そのときには空き家となった自宅を売却してほしい、と望まれる方もいます。ですが、その場合、認知症になると自宅の売却は難しいでしょう。
子の立場で考えてみましょう。遠方に住んでいたり、子供の世話や仕事のため親の面倒を見ることが難しい場合もあります。子は子の生活があり養育費や住宅ローンの経済的負担も大きく、親の施設入居費や介護費用等を援援助することは子にとってかなりの負担になるでしょう。
ですが、これからの時代、親の介護と空き家になった自宅の管理をどうするのかという問題は、親と子の世代にとって避けては通れない問題です。
先のことは誰にもわかりません。ですが、わからないなりに、どうありたいのか、どんな法的問題があるのか、その問題を踏まえて親や子がどう暮らしていきたいのか、想像してみることはできるはずです。親子で「こうはなりなくない」「そうしたくない」と決めておくだめでも、今からやるべきことが少しだけ見えてくるかもしれません。
家族信託は財産に関する認知症対策の有効な手段の一つです。家族が今やるべきことが見えたときに、我が家にとって家族信託が相応しい手段かどうか考えてみてはどうでしょうか。
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