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家族信託 信託金銭で不動産を購入できるのか
信託金銭で不動産を購入すると、購入した不動産はどうなるのでしょうか?
信託法第16条を見てみましょう。
信託法第16条
信託行為において信託財産に属すべきものと定められた財産のほか、次に掲げる財産は、信託財産に属する。
一 信託財産に属する財産の管理、処分、滅失、損傷その他の事由により受託者が得た財産 (以下省略)
条文を今回の例に当てはめると、「信託財産に属する財産(信託金銭のこと)を処分したことにより、受託者が得た財産(購入した不動産のこと)も信託財産になる」ということになります。
つまり、受託者が預かっている信託金銭で不動産を購入すれば、購入した不動産は当然に信託財産となって、受託者が以後この不動産を管理していくことになります。
購入した不動産が賃貸物件であれば、賃料収入が発生します。当然この場合、賃料も信託金銭となります。信託財産が賃貸物件の場合の賃料についてはこちらのブログに書いています。
こう考えると、一度、信託契約で信託財産となると、「信託の世界」では例えば「金銭」から「不動産」に、あるいは「不動産」から「金銭」というように、財産の形状が代わっても信託財産であり続ける、ということになりますよね。これを「信託財産の物上代位性」とよんでいます。
では、次のような場合はどうでしょうか?
信託財産である建物に、運転手の不注意で車が突っ込んできて建物の一部が倒壊したとします。すると、不法行為による損害賠償の請求することができますが、この「損害賠償請求権」も信託財産である建物の形が代わったものと考えると、信託財産となります。
そして、この損害賠償請求権を誰が行使するかというと、信託財産を管理している受託者が業務として請求していくことになります。損害賠償の金銭が支払わればその「金銭」もまた信託財産となります。
「信託の世界では、信託財産が形を代えても信託財産」になるってことですね。
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